時事通信社より5/26に自動車保険の保険料値上げのニュースが出ていました。
大手損保社からの発表となり、ネット型自動車保険の場合は足並みを揃えて値上げというのはほとんど見ませんので、大手社の動向を踏まえて独自に据え置きか値上げかの判断をしていくと思われます。
大手損害保険会社が2024年に自動車保険の保険料を引き上げることが26日、分かった。物価高騰で自動車の修理費や人件費が膨らんでいるため。コロナ禍で減少していた交通量が回復し、自動車事故が増加したことも背景。値上げは20年以来、4年ぶりとなる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052601176&g=eco
損害保険ジャパンと東京海上日動火災保険の2社は同日までに、経営方針説明会で来年の値上げ方針を表明。今夏にも引き上げ幅を決める。あいおいニッセイ同和損害保険も値上げを検討している。三井住友海上火災保険も各社の動向を踏まえて判断する。
自動車保険の保険料の決め方
自動車保険の保険料は「純保険料 + 付加保険料」というものの合計額になっています。
この内純保険料は実際の保険金支払いに充てられる原資で、付加保険料は保険会社の経費や利益などが乗っている部分です。
記事から察するにこの純保険料部分が今回値上げされるという事になります。
純保険料率は損害保険料率算出機構がはじき出す
純保険料はいわゆる大数の法則から成り立っており、機構側が機構に加盟する全保険会社の損害データを元にはじき出します。
保険は1社だけで保険料を決めようとするとブレてしまい博打になりかねない側面があるのですが、データが多ければ多いほどより正しい現実的な数字に近づくので非常に重要な役割を担っているのが損害保険料率算出機構です。
かつては加盟する全保険会社がこの料率の使用義務がありましたが、現在は参考準率という形になっていて参考準率を基に自社の状況を勘案して決めるという形になっています。
余談ですが、保険か博打かの話をしましたが、コロナ保険というのが博打になってしまったようです。
新型コロナウィルスのオミクロン株の登場で感染が拡大し保険金支払いが増大してしまったのでコロナを対象にした医療保険等を販売していた生命保険会社や少額短期保険会社など割と深刻な財務上のダメージを負った保険会社もあります。
損害データが少ない、データが無いような物の場合は予測を越える損害を被る事があるので如何にデータが大事かと言うことであります。
純保険料率の改定内容
2023年5月29日現在に損害保険料率算出機構のHPには今回の値上げの要因となる参考準率の改定の内容はまだありません。
直近では2021年9月22日付の料率改定の案内があり、この時は3.9%の値下げの提言でした。
どこかの段階で昨今の物価高などを背景とした参考準率の改定が示されるものと思われます。
付加保険料の改定
純保険料と対を為すもう一つの構成要素が付加保険料です。
代理店型とネット型と呼ばれる保険会社のうち、この付加保険料を抑えて安く提供しているのがネット型自動車保険です。
ネット型自動車保険の保険会社も博打にならないように機構の純保険料率を参考にしつつ自社の付加保険料を勘案して保険料の設定をしています。
あくまで個人的な考えですが、昨今のエネルギー価格の上昇や物価高や人件費高騰の影響は保険会社自体にも影響があるわけですが、箱物や社員の多い大手社ほど影響を受けます。
このため、大手社の付加保険料も値上げされる事は十分予想されます。
一方のネット型ではどうかと言うと元々ネットや電話を使ったローコスト経営をしており影響は軽微と思われ、保険料を値上げしないで据え置く保険会社と若干値上げする保険会社が出てくるのではないかと予想しています。
2024年の満期時にはぜひ見積もりをしてみましょう
現在大損保社で自動車保険を加入している人は値上げの影響は避けられないところです。
対策としてはネット型等もっと安い保険料の保険会社へ移行するのが1つです。
肌感覚で1点気になるのは、実は自動車保険の保険料値上げは値上げされた事が気づきにくい場合があります。
と言うのも、自動車保険は等級制度というのを使って1年間無事故だと等級が進み、その等級に応じた割引が受けられる制度となっています。
例えば下記のような状況です。
旧契約 年間保険料50,000円 → 値上げ無しの場合 年間保険料45,000円
旧契約 年間保険料50,000円 → 値上げありの場合 年間保険料48,000円
このような感じで自動車保険の満期案内で去年より保険料が下がっていると値上げと感じないケースが出てきます。
一部だけと信じたいですが、去年付けていた特約が外された同条件ではない満期案内もあるので吟味するには2024年の満期時は非常に良いタイミングではないでしょうか。