自動車保険(いわゆる任意保険)の更新日が近づいてくると悩ましいのは『保険料』です。
「自動車保険の保険料を安くしたいのでネット型を検討している」
と、多くの方がネット型自動車保険に興味を持たれます。
しかし、日本には、通常よりも割安な商品やサービスには何か裏がある、品質やサービス内容が悪いのかもしれない…と、安いからと言って安易に飛びつくことを戒める「安かろう、悪かろう」という諺(ことわざ)があるせいか、
「ネット型自動車保険は安いけど、補償内容や事故対応は大丈夫なのだろうか」
「ネット型自動車保険の手続きは難しくないのだろうか」
等々、不安を感じて契約を躊躇っている方も少なくないようです。
今回はそんな方のために、
(1)ネット型自動車保険の補償内容や事故対応はどうなの?
(2)ネット型自動車保険の保険料が割安なのは質が悪いからなの?
(3)ネット型自動車保険の手続きや相談が可能な窓口はないの?
といった、ネット型自動車保険に対する不安の真偽について分かりやすく解説いたします。
①ネット型自動車保険の補償内容や事故対応はどうなの?
ネット型自動車保険の保険料が割安であることに不安を抱く理由はシンプルです。
『なぜ安いのか?』を明確に把握できていないからです。
割安な理由を明確に把握することができれば、保険料の安さが「悪かろう」に起因するのではないことが分かり、ネット型自動車保険への漠然とした不安が解消されるはずです。
補償内容はネット型と代理店型に大きな違いはない
実は、自動車保険の補償内容や事故対応については、ネット型も代理店型もほとんど同等で、大きな違いはありません。
というのも、保険や補償内容、事故対応などは保険会社と直接契約するか、代理店を経由するかとは無関係だからです。
実は自動車保険の代理店は、保険の内容をユーザーに説明したり、申込書を取り交わしたり、何らかの変更の受付や事故の受付までは行います。一方で、受付後の事故対応などは保険会社側が行いますのでこの点はネット型も代理店型も同様です。
『ネット型の方が保険の内容が薄く、補償内容も手厚くないのでは?』
と思われるかもしれませんが、それは単にイメージだけの問題で、実際にはネット型であっても、代理店型と同等の手厚い補償を受けることができます。
余談ですが、代理店型からネット型に切り替えると、自分の希望に合わせてきめ細かく設定できるという点でネット型の方が自由度が大きいと感じることがあります。
ネット型はすべて自分で補償内容を吟味して、必要な補償を組み合わせてオリジナルのプランを作らなくてはならないため、手間や時間がかかる反面、細部まで自分の意思や希望が行き渡ったプランを作ることができます。
保険会社から提供される補償内容に差がなくても、何をどう選択して組み合わせるのかを自ら考え決定するネット型は、自分特化型の保険内容にすることができるという点で、よりきめ細かい補償内容になると言えるのです。
事故対応は保険会社が行うのでネット型と代理店型に差はない
万が一、事故を起こしてしまった場合には事故受付窓口に連絡します。
ネット型の場合には保険会社の事故受付窓口、代理店型は代理店の窓口あるいは担当者に直接連絡するケースもあります。
ただ、事故内容を精査し、支払内容を最終決定するのは保険会社です。
代理店担当者は普段顔なじみで話しがしやすいというメリットはありますが、事故責任の割合や補償額などを決めるのは代理店ではありませんし、代理店担当者は事故相手との交渉もできないので、『事故対応』においてネット型と代理店型の差はほとんどないと言ってもよいでしょう。
②ネット型自動車保険の保険料が割安なのは質が悪いからなのか
それでは、補償内容や事故対応に大きな違いがないのに、なぜネット型自動車保険の保険料は代理店型に比べて割安なのでしょうか。
実はそこには、決定的なある事情が存在します。
その事情が分かると、ネット型がなぜ割安なのかがストンと腑に落ちて、多くの不安が解消されるはずです。
保険料には純保険料と付加保険料がある
ネット型でも、代理店型でも、自動車保険の保険料の内訳は以下のような構造です。
自動車保険の保険料は、「純保険料」と「付加保険料」に大別されます。
「純保険料」は、補償内容に対する純粋な保険料額です。
「純保険料」は、過去のデータに基づいて自動車保険料率算出機構が参考レートをはじき出し、保険会社各社がその額を定めています。
一方、「付加保険料」は、その保険を維持するために必要な経費の部分で、付加保険料の中に代理店手数料も含まれます。
保険会社も、代理店も営利企業である以上、ある程度の利益を求めるのは当然ですし、何か業務を行うためには、必ず何かしらの経費はかかるものですが、実はこの「代理店手数料」こそがネット型の保険料が割安な大きな要因です。
つまり、ネット型が代理店型より保険料が割安なのは、ネット型が代理店手数料を極力抑えているからなのです。
ネット型では代理店手数料を大幅に削減できる
ネット型ではユーザーが代理店を通さず保険会社と直接取引するケースが多いため、「代理店手数料」を大幅に削減することができます。
また、ネット型の代理店手数料自体は代理店型の手数料に比べて、低く抑えられていることもあって、割安な保険料で提供できています。
これで、ネット型自動車保険の保険料が割安なのは、補償内容や事故対応の品質が悪いからではないことがお判りいただけたはずです。
③ネット型自動車保険の手続きや相談が可能な窓口はないのか
ネット型の自動車保険は契約者自身が保険内容を理解し、自らに必要な補償内容を選んで保険会社と直接契約を結ぶことにより、中間マージンをできるだけ削減することで保険料を安く提供しています。
自分自身で保険の内容を理解し、自分に必要な補償内容を吟味するため、手間や時間がかかるが、その分、割安な保険料で必要な補償を得ることができる…というのがネット型自動車保険のスタイルです。
そのため、原則的に言えばネット型自動車保険には実店舗窓口が存在せず、オンラインや電話での申し込みとなりますが、世の中には何にでも例外というものがあり、それはネット型自動車保険でも同じです。
実はネット型自動車保険を取り扱う代理店がある
前項で、ネット型自動車保険の保険料が安い理由に、付加保険料のうちの「代理店手数料」を極力削減できるから…とお話ししました。
しかし、ネット型自動車保険を取り扱う代理店がまったく存在しない訳ではありません。
ネット型自動車保険の多くは、ユーザーから保険会社へ直接申し込むような流れ(ダイレクト型)を作っているので目立ちませんが、ネット型自動車保険を取り扱う代理店も存在しています。例えば保険市場や価格ドットコムなどもネット型保険の代理店をやっています。
ネット専業ではない通常の代理店の多くは、店舗を構えユーザーと相対で接することができる場を設けています。
前述のようにネット型自動車保険の代理店手数料は非常に低く抑えられているため、ネット型自動車保険の保険料を押し上げるほどの「付加保険料」とはならないため、保険会社とダイレクトに契約する場合と保険料はまったく同一となっています。
補償内容の相談やアドバイスを受けられ事故の際も契約者の立場で動いてくれる
ネット型自動車保険の代理店は、通常の自動車保険代理店と同じように契約者の立場でさまざまなサービスを提供しています。
保険内容の相談やアドバイス
本来自ら保険内容を理解し自分に必要な補償を自力で組み立てなければならないネット型自動車保険ですが、代理店経由で申し込めば、保険や補償内容について相対で顔を見ながら分かりやすい説明を受けることができます。
わかりにくい「特約」についての説明
自動車保険に加入する際に分かりにくいのが、多種多様な「特約」です。
特約がどういう内容なのか、どんな場面で必要なのか、分かりやすい説明を受けることができます。
更新時期のお知らせや補償内容の見直しなど
ついつい忘れがちな保険の更新時期にも、保険が失効しないよう連絡があり、ひつようであれば、更新後の補償内容の見直しなどもアドバイスを受けられます。
事故発生時の対応や支援
事故を起こすと非常に不安なものですが、顔なじみの代理店担当者から今後の流れの説明やアドバイスを受けられると安心しますし、非常に心強いものです。
動転しているドライバーに代わってさまざまな手配や連絡をテキパキと進める一方、当事者を落ち着かせる言葉がけも忘れません。
また、代理店は原則、事故の相手との交渉は行えませんが、保険会社に対して契約者が不利にならないよう充分な説明と要望を伝達してくれます。
ネット型自動車保険への不安を取り除く3つの安心要素 まとめ
・自動車保険の保険料を今より安くしたいのでネット型を検討している
・ネット型自動車保険の保険料は割安だが補償内容や事故対応は大丈夫なのか
・ネット型自動車保険に切り替えたいが手続きが難しそうだ
そんなことをお考えの方に向けて、以下のようなネット型自動車保険のメリットをお話ししました。
・ネット型と代理店型で自動車保険の補償内容は大きな違いはない
・ネット型も代理店型も事故対応は保険会社が行うので対応に大きな差はない
・代理店手数料は中間マージンの大きな割合を占めている
・ネット型自動車保険の保険料が安いのは中間マージンを極力抑えているからである
・ネット型は代理店手数料を大幅に削減できるため保険料を安くすることができる
・ネット型でも代理店窓口がある
・ネット型自動車保険を代理店経由で契約すると相対での説明や手続きが可能
・保険や補償内容、特約などに分かりやすく説明をうけることができる
・代理店経由の契約でも保険料はダイレクトに契約した場合とまったく同等である
・事故時の駆けつけは、当事者の不安を軽減し必要な手続きを代行してくれる
ネット型自動車保険は保険料が安い代わりに、自分で補償内容をプランニングしたり、難しい契約内容を把握しなければならないことがデメリットですが、こうしたネット型自動車保険の不安要素を解消するには、代理店での契約がおすすめ…ということになります。
細かい文字や文章を読んで難しい内容を理解するのが苦手な方、どんな補償内容が自分に合っているかが分からない、気になることがあって誰かに相談したい…という方は、ネット型自動車保険であっても代理店に相談してみることをお勧めします。